2008年の本棚 ③

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頭の中がカユいんだ  中島らも・著  徳間文庫  (現在は集英社文庫で発売中)

作家・中島らもの実質的なデビュー作、実話をもとに書かれた4篇を収録。この本、他人にどう薦めてよいのか迷うところもあります。こういう生き方に、何らかの好奇心を持てるか、嫌悪するか人によって分かれると思うからです。戦争紛争、血、暴力、極地への冒険といった物事は外部にあって、それを描写することで読者にショックを与えるなり、正義感を高揚させるといった単純な効果があると思いますが、この本や作家の凄さは、人間の内部に関係しているところかもしれません。凄絶な人生に、笑いがつきまとう。



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沖縄01外人住宅  岡本尚文・写真   ライフゴーズオン刊  ¥5250-

今年最後に、一冊の写真集が出版された。沖縄を被写体とした写真集がこれまでに多く出版されてきたことは事実です。 民俗、紀行、風景、スナップ、観光、ドキュメント。このようなカテゴリーにあてはまらない沖縄こそ見たいというのが最近の沖縄本に対する本音です。実は、高校時代からの盟友、カメラマンの岡本尚文がこの本を出版し、自分も少し係わっています。あまりホメると内輪っぽくなってしまうのですが、アメリカへの憧れと反感を象徴するかのように建つ「外人住宅」、そこに写り込んでしまう沖縄の光、風、植物がミックスされた絵画のような写真。クレオール語がもし東洋で、宗主国をアメリカとして、写真メディアの中で生まれたならば、こういうものになるのかもしれないと思った。
福生・相模原・横浜と、東京郊外の米軍ハウスに親しんだ同世代として、沖縄の中にそれを見つめる目が新鮮で、印刷・製本とも質の高い写真集です。
※12・20より、新宿御苑 蒼穹舎で先行販売中 詳細=www.okamotonaobumi.com

今年一年、このブログを読んでいただきありがとうございます。来年は、また新たな出版を考えているところです。
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by y-ob | 2008-12-29 18:23