「二月」~⑤ 温暖化の影

 西暦2000年前後まで毎年6月、ヨーロッパの辺境にある国々を撮影していました。ポルトガル、リトアニア、トルコ、クロアチア、スロベニア、北部ギリシャなど。東アジアには梅雨があるので、不快な季節である6月、しかしヨーロッパでは一年でもっとも快適な、美しい季節でした。
 ところが、まず、夏のクロアチアで異常な暑さを体験し、その翌年、やはり夏のギリシャ北部マケドニアで考えられないような灼熱の中、クルマのエアコンすら利かない状態で旅をして以来、夏のヨーロッパへの足が遠のいてしまった。
 ちょうどその頃、真冬の寒さになぜか惹かれる気がしました。以前、日本の国境を撮影した折、サハリンでの撮影をどの季節にするか迷って、やはり寒いのはイヤだと思って夏に行ったことがありましたが、この、熱い夏がつづく今、北海道の冬の寒さが逆に心地よいような気がしてきたのです。天邪鬼なのかどうか、相対的なことでしょう。
 雪の積った雑木林の中をカンジキをつけて歩き、静かに息を吸うと元気な気分になってくるのが不思議だ。その時、「冬そのもの」を撮影したいという気分になったのです。

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写真=サハリン ’97年夏撮影 
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by y-ob | 2008-01-14 15:04